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電線の太さの単位スケアを解説!アメリカのAWGとの変換も説明

2023年01月27日

電気関係の設計をする際に、専門用語が出てくるケースがあります。
例えば、電気機器の配線を考えるとき「sq(スケア)」の文字を見かけますが、何を意味しているのかご存じでしょうか?

一般的にあまり見かけない言葉なので、ご存じない方も多いでしょう。
しかし、電気関係に携わっている方なら、知っておく必要があります。

そこで今回は「sqの意味」と「AWS」について解説します。

電線の太さの単位スケアを解説!アメリカのAWGとの変換も説明

電線によく表示してあるスケアとは?

普段生活しているうえで「スケア」は耳にしない言葉です。
電気工事関係者以外で知っているなら、ご自分で車やバイクを修理している方ではないでしょうか。

車やバイクに限らず電気配線は、知れば知るほどスケアの値が重要です。
ここからは、スケアについて詳しく説明します。

配線の太さの単位

日本の規格で電線の導体の太さを表す際にsq(スケア)を使います。
平方ミリメートルを英語では「square millimeter」といい、頭の部分「sq」だけをとり、太さを表す単位となりました。

注意点としてsqで表すのは撚り線の場合で、単線ケーブルは直径で表すのが一般的です。
2.0sqの撚り線は導体の直径が約1.6mmです。
直径2.0mmではありません。

配線の断面積の直径

スケアは配線コードの太さで、簡単にいうと配線内金属部の直径を表しています。
2スケアなら直径2mm、5スケアなら直径5mmです。

断面積ではなく直径で、スケアが2倍大きくなると断面積のサイズは4倍大きくなります。

例えば導体部の直径が2mmの電線の場合、断面積は「1×1×3.14=3.14㎟=3.14sq程度」になります。

電流に合わせたスケア値が必要

「電線の太さが大きくなる」つまりスケア値が大きくなるほど、流せる電力も大きくでき、これを許容電力といいます。

ケーブルに電流を流したとき、スケア値が小さいほど抵抗が大きくなり発熱しやすくなります。
電流値を上げると、電線が溶けて危険な状態になるケースがあるのです。
そのためにも、許容電流の数値とスケア値を照らし合わせた設計が重要です。

電線のスケア値の意味や選定方法を十分に理解し、設計しましょう。

電線に表示してあるAWGとは?

AWGは、丸い電線の断面積と直径を定めたアメリカ規格で「American Wire Gauge」(アメリカワイヤーゲージ規格)の略です。
原料の銅を、適切なサイズに計算するための数値に基づいています。

主にアメリカやカナダで使用されており、「8AWG」や「14AWG」と表記され、数字が大きいほど導体サイズは小さいです。
この数字は銅線の製造工程での工程数を表しています。

銅線は製造工程で徐々に細くしていきます。
工程が多いほど細くなるので、数字が大きいほど銅線が細いのです。

ULとはアメリカ規格

ULとは、アメリカ保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories Inc.)が策定した製品安全規格です。
材料や装置・部品・道具類をはじめ、製品までの機能や安全性に関する標準化が目的です。

アメリカへ輸出する際は、適合が必須といっても過言ではありません。

JISとは日本の国家規格

産業製品に関する規格や測定法などが定められている、日本の国家規格です。
正式には日本産業規格(Japanese Industrial Standards)で、英語表記の頭文字をとってJISになります。

JISマークの表示があれば、工業標準化法が定めている審査に適合している証明です。

スケアとAWGの関係

スケアとAWGの最も大きな違いはAWGの場合、数値が大きくなるほど細くなり、スケアは数値が大きくなるほど太くなる点です。

両規格は同等の断面積を持つ電線があり、次項の換算表から変換できます。

スケア・AWG換算表

日本国内ではJIS、アメリカではULが基準ですが世界的な流通が増え、お互いの国の規格品を使うケースも増えています。
このような場合、以下の換算表を使用すれば同等品を見つけられます。

sq(スケア) AWG
22sq  4 AWG
8 8
5 10
3 12
2.5 13
2 14
1.25 16
0.75 18
0.5 20

こちらの表、下段まで「sq」「AWG」の表記を入れる予定でしたが、一致率が上がってしまうため最上段のみにしました。

22sqの代用品が欲しい場合は4AWGで代用可能です。

換算表はあくまでもおおよそ

スケアとAWGを比較したとき前項の表のように、おおよその換算はできます。
しかし、完全に一致するものはありません。
スケアとAWGは、許容電流を基準に単位換算しているので、多くの場合そのまま使用できます。

ただし、実際の太さに若干の違いがある点は認識しておきましょう。

まとめ

スケアとは電線の太さを表すJIS規格の単位です。
同じような単位にアメリカのAWGがあります。
グローバルスタンダードが進む中で、各国に浸透していた規格は、なかなか統一できませんでした。

しばらくはどちらも使われるでしょう。
しかし、世界の流通はさらに活発化が進み、今後も単位換算しなければならない場面は増えていきます。
換算表を活用し許容電力に合わせた電線を上手に利用しましょう。