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無電柱化を進めるとどんな効果がある?取り組みとメリットを解説!

2022年12月19日

国や自治体が無電柱化を進めているといったニュースを聞いた経験はありませんか?
国土交通省を中心に、電線を地中化するなどして街から電柱をなくす事業である無電柱化を推進しています。

すでに無電柱化を進めている自治体もありますが、「正直よく分からない」と困惑する方も少なくないでしょう。
この記事では、無電柱化に関わる事業や、そもそも無電柱化するメリットを解説します。

ぜひ最後までご覧ください。

無電柱化を進めるとどんな効果がある?取り組みとメリットを解説!

無電柱化を推進するメリット

日常生活において、街を歩けば電柱を目にするのが当たり前の光景でしょう。
無電柱化とは、地下に電力線や通信線を収容するなどして、今立っている電柱を撤去していく政策です。

国をあげて推進しているのは、「災害時の被害を減らす」「安心して暮らせる街になる」といった大きなメリットがあるためです。

災害時の被害を減らす

これまで地震や台風の際、倒れた電柱で道路が塞がれる、家屋が潰されるといった被害が出てきました。
道路が塞がれれば、救助が遅れ被害が拡大する可能性もあります。

また、生活物資を運ぶための車両も通れなくなるため、被災地の方の安全が確保できません。
電柱と電柱は電線で繋がっているため、1本が倒れると、ほかの電柱も倒れて被害が増加する傾向があります。

さらに、電柱の転倒と共に電線が切れれば、感電の危険性も出てくるでしょう。
無電柱化が進めば、災害時の被害を減らし、救助や復興のスピードをあげる効果が期待できます。

安心して暮らせる街になる

道を歩いていて、電柱が邪魔だと感じた方は少なくないのではないでしょうか。
生活に必要な存在だと分かっていても、通路を塞ぐように立つ電柱を避けるのは煩わしいものです。

ベビーカーや車椅子を使用していれば、電柱を避けるちょっとした動きにも苦労するでしょう。
特に細い道路では、歩行者が電柱を避けようとして道路にはみ出し、車と接触しそうになる危険も出てきます。

無電柱化が進めば細い道路を歩く時も危険がなくなり、歩行者だけでなく車の運転手にとっても生活しやすい街になるでしょう。

【無電柱化支援】交付金など国や自治体の動き

2016年に「無電柱化の推進に関する法律」が成立し、より具体的に無電柱化が進める計画を発表されました。
2019年には「無電柱化推進計画支援事業」が立ち上げられ、無電柱化に絞った初の交付事業に計上された金額は290億円です。

しかし、当時の政策内容は市街地開発事業等の施行者にかかる負担が大きく、無電柱化が進まない理由の一端になっていました。
そこで無電柱化推進のため、2022年度から新たに「無電柱化まちづくり促進事業」が創設されます。

地方自治体の無電柱化に関わる事業の費用を、国が一部負担すると発表されました。
これを受け、東京都が実施を決めたのが「宅地開発無電柱化推進事業」です。
2020年から行われていた「宅地開発無電柱化パイロット事業」を、より本格的な無電柱化促進のために拡充した事業です。

補助の限度額を引き上げる、補助限度額の設定を廃止するなど、国からの交付金によって変更になった点がありました。
東京都のように無電柱化に関わる事業に力を入れる自治体が増え、既存の電柱が減るだけでなく、新たな電柱が増えないよう期待されています。

デメリットをいかに解消するか

無電柱化は国が力を入れている事業ではありますが、当初期待されていた成果が未だに出ていない事業でもあります。
理由として挙げられるのが、次の2つのデメリットです。

● コスト対策が不十分
● 被害にあったら修理が大変

デメリットの解消が無電柱化推進に繋がるでしょう。
それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。

コスト対策が不十分

電柱をなくすのであれば、電線共同溝方式など別の方法で電線などを繋げなくてはなりません。
しかし、方式によっては電柱を立てるよりもコストがかかります。

簡単に比較できるものではありませんが、電柱を立てる時の10倍のコストがかかるといった報告も出ました。
それに対して国や自治体からの補助が少ないため、無電柱化を進めようとする申請者が増えないのが現状です。

また、電柱の管理者が違うため、撤去のための交渉が複雑になる点も無電柱化の推進に歯止めをかける結果になっています。
海外では、主だった都市を中心に無電柱化が着々と進められてきました。

ところが日本では、最も無電柱化が進んでいる東京都でさえ、大きく遅れを取っているといわれています。

被害にあったら修理が大変

無電柱化の手法はいくつかありますが、その中の電線共同溝は道路の地下に電線を設置するものです。
この手法で電線を設置した場合、なんらかの損傷を受けた場合の復旧に時間がかかる点が懸念材料になっています。

既存の電柱なら何かあればすぐ修理できますが、埋設された電線の場合、問題のある箇所を特定するにも時間がかかるでしょう。
問題箇所が発見できても、そこからさらに修理の時間がかかるため、これまでより復旧に時間がかかる点も問題視されました。

しかし、この懸念は無電柱化の推進と共に解消されるともいわれています。
技術力が進歩すれば問題箇所を特定する時間、修理にかかる時間が短縮され、コストも削減されていくと予想されているためです。

さらに、埋設された電線は台風で被害を受ける確率が下がります。
毎年台風で被害を受ける日本において、無電柱化は人々の生活を守るための政策といえるでしょう。

まとめ

無電柱化の進捗は順調とはいえない、と紹介してきましたが、すでに無電柱化を成功させている自治体もあります。
埼玉県川越市の川越一番商店街は、歴史的な街並みが評価されている土地です。

歴史的な街並みを守るためにと無電柱化を進め、なんと1992年には無電柱化が完成していました。
景観がよくなった結果さらに観光客も増え、経済の活性化にも繋がった例です。

京都府京都市の花見小路も、2002年に無電柱化が完成している土地です。
海外からの観光客も多い京都市では、ほかにも産寧坂、二年坂、一年坂でも無電柱化を進めてきました。
電柱や電線がなくなると昔ながらの景色が蘇り、多くの観光客を喜ばせています。

無電柱化にはデメリットもあるものの、多くのメリットがある事業です。
分かりにくい点があり、なかなか一歩が踏み出せない方は、ぜひ株式会社 SWIFTにご相談ください。
これまでの実績を元に、合理的な設計をご提案いたします。