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粘土質地盤の特徴とは?その他にもある地盤の種類とその特徴

2022年07月02日

住宅を建設する土地探し中には、立地や面積、そして形などに注目しがちです。
ですが、その土地の地盤や土質も重要なチェックポイントになってきます。

地盤や土質の種類には様々ありますが、粘土質は耳にしたことがある方は多いでしょう。
粘土質という土質の特徴を解説し、その他の地盤の種類や特徴もまとめます。

粘土質地盤の特徴とは?その他にもある地盤の種類とその特徴

そもそも地盤とは

地球の中心には「核」といわれる部分があり、さらにマントルと呼ばれる土や岩石などがドロドロに溶けた部分があります。
その上には、プレートと呼ばれる岩盤があり、その表面に薄く土や岩石などで構成される地殻があります。

地盤というのは、この地殻のさらに表面にある層で、地球の構造からみるとごく薄い層です。
ですが、建設した建物を支える基盤となる層です。

30t以上の重さが支える支持層

一般的に、2階建ての戸建て住宅の重量は30t程度といわれています。
これだけの重量を支えられる地盤のことを「支持層」といいます。
支持層が地盤のどこにあるかは、その土地によっても違います。

例えば、地盤のごく表層部分に支持層がある場合と、数十メートルという深い位置に支持層がある場合が考えられます。
支持層が深い位置にある土地の上に建物をそのまま建てると、地面が建物の重量を支えられません。

そのため、沈み込んだり傾いたりしてしまいます。

N値

どのくらいの重さの建物まで支えられる地盤なのかを表す単位に「N値」があります。
N値を計るためには、63.5kgの重りを取り付けた測定用の鉄棒器具を76㎝の高さから落下させる試験を実施します。

この試験は、一般的に「ボーリング調査」と呼ばれています。
ボーリング調査で鉄棒器具が地中に30㎝貫入させるまでに落下させた回数が「N値」です。
N値の数値が高いほどその地盤は土が締まり固く、重い重量を支えられる地盤となります。

地盤の種類

地盤を構成するのは土と岩です。
土と岩がどの程度混ざり合っているのか、またその粒度がどの位なのかにより細かく分けることが可能です。

地盤の土質は大きく分けると2種類に分類されます。
粘性土(粘土質)と砂質土です。
粒子径が75㎛以下で、さらに土粒子が50%以上含まれる土質を「粘性土」といいます。
粘土質ともいわれています。

土や岩の粒子径が2.0㎜以下で、さらに粗粒分を50%以上含む土質を「砂質土」といいます。

N値と地盤の関係

粘性土(粘土質)は柔らかいためN値が低く、砂質土は固く締まっているためN値が高いといわれています。

ですが、一概に粘性土はN値が低い、砂質土はN値が高い訳ではありません。
粘性土でもN値が高い場合がありますし、逆に砂質土でもN値が低い場合もあるのです。
住宅建設のための土地探しで「粘土質はやめた方がよい」「砂質土は強固な地盤だ」と判断することは避けた方が良いでしょう。

粘性土(粘土質)の特徴

粒子が細かい粘性土は、粒子同士が強固に結びつくことで強い地盤が形成されます。
一方で隙間も多い特徴があります。
圧力がかかると隙間に含まれる空気や水分が逃げ出し変形するため、圧密沈下が発生するリスクがあります。

圧密沈下が建物全体の地盤で発生する場合は構造的には大きな問題となりにくくなります。
ですが、地盤の強さにはばらつきがあり、圧密沈下は不揃いに発生することが多いのです。
そのせいで建物が傾いたり歪んだりする恐れがあります。

粒子同士の結合が強く、隙間がない粘性土は非常に強固な地盤です。
例えば地形が丘陵地や昔から集落があるような土地で地盤が粘土質という場合には住宅建設に向いた強固な地盤といえます。

ですが、盛土や埋め立て地など粘性土を後から入れた場所では、粒子同士の結びつきが断絶されてしまい、軟弱地盤になっている場合があります。

砂質土の特徴

粘性土に比べて粒子が大きいものの、粒子が均一な砂質土は互いがかみ合わさることで強固な地盤を形成します。
透水性があり水捌けも良い点も特徴でしょう。
粘性土で発生する圧密沈下は起こりにくく、不同沈下の心配は少ない地盤となります。

ただし、地震などの揺れにより粒子同士のかみ合わせが崩れると液状化現象が発生し、一気に軟弱地盤になる危険性があります。
砂浜を歩くと足がとられ足跡が残ったという経験を持つ方は多いでしょう。
一度液状化した砂質土は足がとられるのと同じように建物が沈み込むのです。

まとめ

土地探しの際に表面的な部分の土質をみて「粘性土は弱い」「砂質土は強い」といった判断をしがちです。

ですが、粘性土でも強く強固な地盤であったり砂質土でも軟弱地盤であったりします。
見た目だけで判断することなく、その土地がある場所の地形や地質調査の結果なども加味して判断する必要があるでしょう。

また、軟弱地盤と思える場所でも、地盤改良工事を実施すれば安全な宅地として住宅建設が可能な場合もあります。
購入を検討する土地の周囲で過去どのような災害がありその際どのような被害が発生していたのかもチェックしてみると良いですよ。