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電柱の施工方法に種類はあるの?建柱工事についてのまとめ

2022年11月04日

道沿いに並ぶ電柱は、最初からそこに立っているわけではありません。
誰かが何かしらの方法で建てたから、そこに立っているのです。

この電柱を建てる工事を「建柱工事」といいます。
建柱工事の施工方法には、どのようなものがあるのかなど、建柱工事についてまとめます。

電柱の施工方法に種類はあるの?建柱工事についてのまとめ

基本は1種類

建柱工事は穴を掘り、柱を建て、埋め戻すという工程で実施される工事です。
基本としては、この方法のみになりますので、種類は一つといえるでしょう。
ただし、どこに建柱するかによって多少の違いがあります。

何もないところに柱を建てる工事

建柱工事の中では、難易度が低めなのが電柱などの柱を新たに立てる工事です。
柱を建てる箇所に埋設物がないかを確認し、問題がなければ穴を掘ります。

さらに運んできた柱を建て、垂直に建柱したら空いている部分の埋め戻しを実施すれば終了です。

柱の建て替え

既設の電柱を更新するために新しい電柱を建柱する場合は、上空に電線がすでに架けられた状態です。
建柱の際に電線に触れることがないよう注意を払う必要があります。

また、建柱後に電線を架け替える装柱工事も施工します。
既設の電線から引っ張られることも考慮し電柱を垂直ではなくあえて傾けて建柱する必要も出てきます。

軟弱地盤や強固地盤への建柱

建柱する場所が、必ずしも建柱に適した地盤とは限りません。
事前に地盤調査を実施して、支持層の状態を確認する必要があるでしょう。
建柱工事実施前には、ほぼ地盤調査が必要ともいえるでしょう。

建柱工事の流れ

では実際の建柱工事が、どのような流れで実施されるのかをまとめます。

穴掘建柱車の準備

建柱工事に必要な機能を備えた特殊車両が「穴掘建柱車」です。
ポールセッターやポールマスターなどの呼び名があります。
建柱作業に必要となるクレーン機能と掘削機能を備えています。

柱の積み込みと運搬

建柱する柱をトラックに積み込みます。
この際穴掘建中車を用い、トラックの荷台に柱を積み込むことになります。
電柱の場合約12mあるため、電柱の運搬には許可が必要です。

建中箇所の準備

建柱する場所を掘削する準備が必要です。
埋設物が埋まっていないか、地盤や支持層に問題がないかなど事前に調査しておきます。
もし、埋設物があるなら移動させる、地盤改良工事を実施するなどの前準備も必要でしょう。

また、地表がアスファルトなどで覆われている場合には、削岩機を使い破砕します。
事前調査で埋設物がないとされても、万が一のことがありますのでスコップを用い掘削し、埋設物がないことを再度確認します。

穴掘建中車での掘削

穴掘建中車には、アースオーガーという掘削設備があります。
スコップで掘削した場所にアースオーガーをセットし、本格的な掘削作業を実施します。

アースオーガーのスクリューに付着した土は、こまめに取り除きます。
掘削深度は、建柱する柱の6分の1という決まりがあります。

柱を吊り上げ建てる

目標深度まで掘削できたら、穴掘建中車のアースオーガーを格納します。
今度はクレーン機能を活用し、運搬してきた柱を吊り上げ穴に差し込み、柱を建てます。
垂直に柱が建つよう「下げ振り」と呼ばれる道具を用います。

根枷ブロックの設置

建柱した柱が傾いたり、沈下したりするのを防ぐために「根枷ブロック」を設置します。
この根枷ブロックには、いくつかのサイズがありますが、建柱する柱の長さや、地盤の情愛に合わせて決められたものを用います。

埋め戻しと締固め

建てた柱と掘削した穴には隙間があるため、掘りだした土や砕石を使い埋め戻しを実施します。
さらに、締固めを実施して柱の根元を強固に埋め戻します。

場合によっては水締めといって、柱の根元に水を流し入れることもあります。
最後にアスファルト舗装をして、作業が終わります。

装柱作業と古い柱の撤去作業

既設の電柱との取替え工事では、既設の電柱に架かっていた電線を移動させる装柱作業も実施します。
さらに、不要となった電柱を撤去する作業も必要です。

建柱作業であると良い免許や資格

穴掘建中車を運転するためには、以下のような免許や資格が必要です。

・自動車運転免許証(中型)
・車両系建設機械基礎工事用技能講習または穴掘建中車運転のための特別教育
・小型移動式クレーン運転技能講習

また、装柱作業を担うためには電気工事士の資格も必要です。

まとめ

穴を掘り、柱を建てて埋め戻すというのが建柱作業です。
簡単にみえる作業ですが、実際には周囲に配慮し万が一にも柱が傾いたり倒れたりしないよう細心の注意も必要です。

建柱する柱が倒れると、大事故につながる危険もある作業です。
さらに、掘削時に埋設物があった場合に誤って壊してしまうと、ライフラインを傷つけてしまう危険が出てきます。

しっかりとした知識や技術がなければ、担えない作業です。