コラム

column

電線共同溝工事とはどのような工事?共同施工の効果と役立つ資格

2022年11月05日

街を歩いているときに電柱や電線がない道路を見かけたことがあるかもしれません。
このような道路の場合、もしかしたら電線共同溝が設置されている可能性があります。

電線などを地下の空間に収容する「電線共同溝」を作るための工事や工事に関連する資格についてまとめます。

電線共同溝工事とはどのような工事?共同施工の効果と役立つ資格

電線共同溝とは

電線共同溝の工事がどのように施工されるのかを解説する前に、電源共同溝について知る必要があるでしょう。
またその目的も知っておくと良いですね。

管理者が異なる2つ以上の電線を収容する設備

電線共同溝は平成7年に施行された法律「電線共同溝の整備等に関する特別措置法」に基づき整備されています。
地下に電線を敷設する設備を作ることで上空に電線がない景観が作れます。

また、歩行や通行の障害となる電柱がなくなることで、安全な道路づくりが叶います。
電線の断線なども起こりにくいため、電力や通信サービスの供給が安定化できるメリットもあります。

また災害時の救助活動、避難活動もスムーズになるともいわれています。

整備には約4年必要

単純に電線を地中に埋設する工事ではないため、電線共同溝の整備には時間がかかります。
放擲手続きなども必要で、計画から実際の施工、運用までには約4年の期間が必要です。
計画や施工にあたって専門的な技術や知識も必要となる工事となっています。

電線共同溝工事の流れ

では、実際に電線共同溝を整備するための流れについて解説します。
電線共同溝の整備等に関する特別措置法では、整備に関するフローが示されています。

計画・手続き・設計

どこに電線共同溝を整備するのかを計画し、さらに電線共同溝にどの事業者が敷設を希望するのかなどを計画していく必要があります。

・電線共同溝整備道路の指定
・電線共同溝整備計画策定

この2つを経て実際の電線共同溝の建設工事が始まります。

支障となる設備の移動と電線共同溝の工事

道路の地下には、さまざまな設備が埋設されています。
今回電線共同溝を整備しようとするところに上下水道やガスなどの設備がある場合は、これらを移設する必要があります。

電線共同溝を整備する箇所に支障物がなくなった段階で、工事が始まります。

電線の入選と引込工事

電線共同溝を利用する電線の引込工事を実施し、さらにその電線からの電力供給や通信サービスなどを各家庭で利用できるよう引込管の工事も実施します。
実際に電力供給や通信サービスが支障なく提供されるか、設備に不備がないかなどの行政検査も実施されます。

電線と電柱の撤去

道路上にあり使用しなくなる電柱や電線を撤去します。
この時点ですでに電力供給や通信サービスの提供は電線共同溝に敷設された電線から開始されなければなりません。

電線共同溝上の道路整備

電線共同溝が歩道下に整備された場合には、歩道舗装を実施します。
車道下に整備された場合には、道路舗装を実施します。

工事施工にあたり役立つ資格

この電線共同溝の工事に携わるときに役立つ資格についても、まとめました。

施工管理技士

建設業法27条に基づいた国家資格です。
工程管理や原価管理、安全管理、品質管理と呼ばれる施工にあたり必要な4つの管理を担います。

安全で計画通りに建設工事が進められるよう監督する仕事です。
資格には1級と2級があり、1級の方がより多くの仕事が担えます。

施工管理技士は7種別に分かれますが、電線共同溝の工事の場合は「土木」「電気」「電気通信」「機械」の4種類が役立ちます。

RCCM

建設コンサルタントとして働くときに欠かせない資格といわれているのがRCCMです。
これまで身に付けてきた知識や技術を活用し、技術士の下で直接管理者として活躍できます。

電気工事士

電気設備工事に必要不可欠な資格が、電気工事士です。
第二種電気工事士では600V以下で受電する一般用電気設備工事までが範囲です。
電線共同溝工事に携わるなら、第一種電気工事士資格を取得しておくと良いでしょう。

土木関連資格

電線共同溝の建設時には、さまざまな土木作業もあります。
土木作業を担う場合には、土木作業経験や土木関連資格を取得しておくと良いですね。
敷設済みのアスファルトやコンクリートのはつり工事や、道路を掘削する工事、電線管の敷設工事などがあります。

これらの施工には重機が欠かせません。
また残土の運搬にあたるトラックの運転が可能な免許もあると良いでしょう。
実際に工事現場で作業員として活躍するためには、溶接や玉掛けなど実際に作業に役立つ資格の取得も必要です。

まとめ

電線共同溝の工事は電線に関連する工事だけではなく、土木や建設など多様な工事が必要です。
そのため電線共同溝の工事ではさまざまな資格が役立つでしょう。

もし電線共同溝の工事に携わりたいと考えているなら、工事の中でどのようなポジションで携わりたいのかなどを考え、資格取得を目指すと良いでしょう。
社会インフラの1つでもある電線共同溝の工事に携わることは社会に役立てる満足感も得られるでしょう。