コラム
column
柱状改良とは?費用相場やメリット・デメリットを解説
2022年11月07日
建造物を建てるとき、地盤改良が必要な土地だった場合は地面を丈夫に施工しなくてはいけません。
地盤を強化するにはいくつかの方法がありますが、柱状改良は各工法の中でも地面の中層部分が柔らかい土地に有効的です。
今回は、地盤を改善する前に知っておきたい柱状改良の特徴や費用相場などについて、詳しく解説します。
柱状改良とは?
柱状改良(ちゅうじょうかいりょう)は、建造物を建てる範囲内に円柱の杭を打設して地盤を強化する工法です。
柔らかい地盤が地上から深さ2~10mほどだった場合に施工します。
打設する杭の本数は建造物を建てる範囲や構造によって違います。
例えば、3階建ての戸建住宅の場合、建物を支える基礎がしっかりしていないと、地震や台風などの被害を受けやすいため、杭を打設する本数は増えるでしょう。
柱状改良の流れ
柱状改良の工期は1~2日と短期間で完了します。
どのような流れで行うのか、手順を確認していきましょう。
1. 施工範囲を決める(近隣住民へ挨拶など)
2. 掘削する機械を設置(巨大なドリルのような装置)
3. 掘削しながらセメントミルクを穴へ注入
4. 目的の深度まで掘削
5. 撹拌しながら機械を引き上げる
6. 固化材を固める
杭となる材料は、掘削により出た土とセメントを混ぜ合わせたものです。
機械からミルクセメントと呼ばれる固化材を注入して、掘削により出た土とその場でかき混ぜながら施工します。
柱状改良と鋼管杭の違い
地盤を強める工法として、柱状改良と同じような施工である「鋼管杭」があります。
二つはどちらも建造物を建てる範囲内の地面に、杭を打設して建物の強度を高めるのですが、それぞれ特徴が違います。
鋼管杭は地上から深さ30m近くまで柔らかい地盤を強化できるため、柱状改良に比べてさまざまな土地に有効的です。
また打設する杭は鋼管なので強度も高く建物の安定性に優れています。
工期は同じくらいですが、作業に必要な有期などは小規模なタイプなので、重機が入れないような狭い土地でも対応できます。
地面が液状化しても不同沈下の発生は低いのですが、安全性が高い分、費用も他の工法に比べて割高なのが欠点です。
柱状改良の費用相場
柱状改良の費用相場は、坪単価2~3万円が相場です。
例えば、30坪の範囲で施工すると60万~90万円が目安でしょう。
費用の計算は延床面積で計算する業者が多く、一般的な戸建住宅は30坪前後が多いです。
地盤の強度は土地や環境によって違うため、必ずしも必要な工事とは限りません。
中には何も手を付けなくても建築に着手できる土地もあります。
予算の目安は地中の状況によって大きく変わるため、できるだけ高めの予算を組んだ方が安心です。
柱状改良のメリット
建造物を建てるとき、ハウスメーカーや不動産などから「柱状改良で地盤を強くします」といわれても、いまいちピンと来ない人は多いでしょう。
施工する前に、どんな利点があるのか、チェックしておきましょう。
費用が安い
地盤を強くする工法の中で、費用が安いのが特徴的です。
工事の流れをみて分かるように、杭に必要な固化材はセメントと土ととてもシンプルです。
また、掘削する重機や道具も最小限で、多くの住宅で取り入れている工法の一つなので手間がかかりません。
固い地層がなくても施工できる可能性あり
地中の中は、川などから流れてきた砂や粘土でできた柔らかい層と、古くから存在する固くて丈夫な地層の二種類あります。
建造物を建てる上で弱い地盤といわれるのが、柔らかい層の土地です。
一般的に地盤を強化するには、地中の固い層まで掘削して杭などを打設します。
しかし、柱状改良は軸の直径が大きいので、杭周面の摩擦抵抗の力が高いので固い層に達しなくても施工できる場合があります。
柱状改良のデメリット
一見、安定して建造物が建つ工法に思えますが、施工にはデメリットも存在します。
どういった欠点があるのか、チェックしておきましょう。
業者によって結果が変わる
地盤を丈夫にする工事にあってはならないことですが、業者によって強度は大きく変わります。
そもそも柱状改良は、土地にある土とセメントをかき混ぜて杭を打設します。
セメントはどの土とも固化するとは限らず、例えば腐植土や酸性土はセメントが固まるのを阻害する働きが強く相性が悪いです。
知識と経験のない業者が施工すると、固化材が固まらず柔らかい基礎の上に建造物を建ててしまうため、建築後にドアや窓が開かない、雨漏りがするといったトラブルが起こりやすくなります。
セメント撤去は費用がかかる
地中に打設したセメントは、産業廃棄物になるため、撤去する場合は費用がかかります。
例えば、住宅を取り壊して建て替えを検討しているとき、別の工法で地盤を強化しようと考えるケースは少なくないでしょう。
このとき、地中にはたくさんの杭が打設しているため、すべて撤去してきれいな状態にしなければいけません。
施工が浅層ならまだしも、中層や深層と奥深いところまで杭を打設している土地は撤去費用が高めです。
これから先、土地を売ろうと考えている人は欠点が大きいでしょう。
まとめ
柱状改良は地中の柔らかい層が中層付近まである土地に有効的な工法です。
工期も短く費用も他の工法に比べて高くないため、利用されやすいのですが、強度は業者により違うので信頼できる業者へ相談してから決めましょう。