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地盤調査の義務化はいつから?必要な条件と注意点
2022年11月10日
建造物を建てるとき、必ず行われる地盤調査。
調査結果まで時間がかかるので工期が遅れる他、まとまった費用請求もあるため、実施するのはデメリットしかありません。
「地盤調査は絶対にやらないとダメなのか」と疑問に感じる人も多いでしょう。
そこで今回は、地盤調査は義務化なのか、実施が必要な条件や調査費用の目安などについて詳しく解説します。
地盤調査って何?
地盤調査は、建造物を建てる土地の柔らかさを調べることをいいます。
土地によって地中の中は地下水が流れていたり空洞ができていたりと、地盤の固さが違います。
想像してみると分かりますが、板の上とボールの上に立つのは、どっちが安定していますか?
当然「板の上」と答える人が多いでしょう。
建造物は、固くて丈夫な土地の上に建築しないと、地盤沈下して家が傾いたり倒壊したりと大変危険です。
地中の柔らかさを調査することで、安心して建物を建てられるのか判断できます。
地盤調査の仕方
一般的に、地盤調査は次の三つの方法で行います。
・ボーリング調査
・SWS試験(スウェーデン式サウンディング試験)
・平板載荷試験
結果データは、さまざまな角度で分析されて、必要に応じた地盤改良を行います。
地盤調査の義務化はいつから?
昔から地盤調査は行われていましたが、平成12年(2000年)から義務付けられました。
義務化のきっかけとなったのが、2000年に起きた阪神淡路大震災です。
気象庁の発表では、当時の地震は震度7を観測し、住宅やビル、橋といった大きな施設もたくさん倒壊しました。
しかし、同じ地域でも住宅が倒壊しないケースもあり、調査したところ地盤の柔らかさが関係していることが分かったのです。
大きな被害をもたらした地震をきっかけに、法律の見直しも行われました。
・建築基準法施行令 第三十八条
・建築基準法施行令 第九十三条
日本は、地震が頻繁に起こりやすいため、建物の耐震性を強めるだけではなく、土地の丈夫さも必要であることから、平成12年より地盤調査は義務化されました。
地盤調査と瑕疵担保責任
地盤調査と同じく義務付けられたのが「瑕疵担保責任」です。
瑕疵担保責任は、建設会社が建物を購入者へ引き渡した際、今後十年の間にトラブルが生じたときに修繕することをいいます。
例えば、シロアリが発生したり雨漏りがしたりなど、一般には分からない欠落が起きたときです。
保険に加入するには地盤調査が必要なので、今後のために入っておくということはできません。
地盤調査が義務化!必要な状況とは
建造物は、ずっと更地だった場所に建てるだけではなく、建て替えや増築などさまざまな状況の施工もあります。
建築の状況別に、地盤調査の義務化はどうなるのかチェックしていきましょう。
住宅を増築する
子供の成長や家族構成の変化により、増築を検討する家庭も多いでしょう。
増築する場合、地盤調査は状況によって必要性が異なります。
・防火地域または準防火地域以外
・増築部分が10平方メートル以内
上記の場合は必要ない可能性があります。
ただし、絶対ではないので必ず行政に確認してください。
住宅を建て替えする
家を建て替えするには、新築の建設が必要なため、地盤調査が必要です。
義務化のなかった昔は、地中の状況を調べていないケースも多く、見た目は丈夫でも柔らかい地層の土地である可能性は十分考えられます。
建て替え後、安心して暮らせるように土地の状況を把握しておくことは大切です。
土地を売却する
土地を売却するときは、地盤調査の必要はありません。
地中の調査は、建造物を建てる範囲で行われるため、地上に住宅があると実施できません。
また、建物を売却する際も建て替えをしない限り調査の対象とならないため、売却では法律に違反することはないです。
地盤調査は有資格者が行うの?
地盤調査を行う人は、専門知識と技術を要した人材です。
土地を調べるには、次のような資格取得が必要です。
・住宅地盤技士(調査、設計施工がある)
・住宅地盤主任技士(調査、設計施工がある)
・地質調査技士(ボーリングや計測試験などの知識と技術の認定資格)
資格を取得するメリットは、「できること」が増えることです。
地盤のデータ分析や品質管理、土地の補強工事など資格によってさまざまあります。
地盤調査の費用目安
土地を丈夫にするには、お金をかけて工事をしなくてはいけません。
その前に、地中が柔らかい地層か判断するにも費用が発生します。
戸建住宅の調査費用の目安は、約5万~20万円です。
施工の種類によって費用は違うため、できるだけコストを安く抑えたい、試験の日数を早めて欲しいというときは業者へ相談しましょう。
まとめ
平成12年から地盤調査は義務化されました。
今まで丈夫だと思っていた土地も、調べてみると実は柔らかくて住宅を建てるのには不向きというケースも珍しくありません。
調査には費用と時間がかかりますが、安全に暮らすには欠かせないので、信頼できる業者へ相談や依頼をしましょう。