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深層改良とは?費用相場やメリット・デメリットを解説

2022年11月18日

国内にある多くの土地では、建造物を建てるときに地盤改良が必要です。
工事が必要なとき、業者から「深層改良が必要です」といわれても、どんな工法なのか分からない人は多いでしょう。

そこで今回は、深層改良である深層混合処理工法の特徴や費用相場などについて、詳しく解説します。

深層改良とは?費用相場やメリット・デメリットを解説

深層混合処理工法とは?

深層混合処理工法は、地上から深さ8mほどの柔らかい地層の上に建造物が建てられるように地中を強化する工事です。

専用機械によって地面を掘削して、固化材であるセメントや水、穴を掘って出た土をかき混ぜながら杭を打設します。

地面から深い層へ達するにつれて固い層になるのですが、地下水が流れていたり腐植土だったりすると強度が弱いため、地上に建造物を建てられません。

建てたとしても建築後、建物全体が歪んだり地震で倒壊したりと新築や中古住宅関係なくトラブルが発生します。

深層混合処理工法は深い層まで柔らかい地盤の土地に行う施工の一つです。

深層改良に適した状況とは

深層改良は、一般住宅からビルなど建造物以外でも行われます。

例えば、道路や鉄道などをつくる際に用いられます。
建造物と同じく、自動車や電車、新幹線などが走る道路も強度の弱い土地に建てるのは大変危険です。

住宅を建設するときと同じく、鉄道などをつくるときも地盤調査から行い安全面を確認します。

他にも、海や川に設置する堤防の盛り土の位置がブレないようにするためにも施工します。

深層混合処理工法の流れ

深層混合処理工法は、建造物に対して十数本の杭を打つのですが、どのように施工するのか流れをチェックしていきましょう。

1. 深層改良する位置を決定
2. 掘削する専用機械を設置
3. 掘削しながら固化材を注入
4. 掘削で出た土と固化材をかき混ぜる
5. 専用機械を逆回転しながら引き上げる
6. 固化材を固める

予めつくった杭を地上から深層部まで埋めるのではなく、ある程度丈夫な地層まで掘削して固化材で杭をつくります。

深層改良の深さは工法の種類で変わる!

一般住宅の土地を深層改良する場合、地上から8m付近の深層部まで地盤を改善できます。
ですが、深層混合処理工法は深さや建築工事に合わせて、さまざまな種類があり、それぞれ最大の深層改良の長さが違います。

例えば、海と海をつなぐための橋は、水分を多く含む地盤の上に建設します。
良好な地層はとても深いため、通常行われる施工では対応できません。

地中から深い部分まで柔らかい層のときは、深層50mまで対応できるDCS工法(相対撹拌式深層混合処理工法)で工事します。

深層混合処理工法は「機械攪拌工法、機械攪拌高圧噴射併用工法、高圧噴射単管工法」の種類があり、状況に合わせて使い分けて施工します。

深層改良するメリット

深層改良すると、どんな利点があるのか、施工前にチェックしておきましょう。

近所に迷惑をかけない

外構工事で一番気がかりなのが、騒音や振動による周辺への影響です。

深層改良は音や振動といった不快な環境をつくらず施工できるため、住宅密集地の中で工事をしても大きなトラブルはありません。

とはいえ、少なからず音や振動はあるため、事前に工事することを近所へ伝えておきましょう。

地盤に合わせて強度を高める

土地の土質によって強度は変わり、どの環境でも同じ深層改良できるとは限りません。

改良する前に地盤調査で土地の強さをみてから、強化するために必要な固化材の配合量や種類を変えていきます。

固化材の配合量などは業者の技術力によって左右されるため、知識と経験豊富な業者選びが重要です。

深層改良するデメリット

深層改良すると、どんな欠点があるのか、チェックしておきましょう。

施工後は元に戻せない

一度、深層改良して杭を地中に打設すると元に戻せません。
施工前に戻すには杭を取り出す必要があるのですが、セメントは産業廃棄物として処理しなくてはならず、処分費用が発生します。

土地を売却するとき、深層改良したことを不動産に伝えておかないと、後々トラブルのきっかけとなるケースも珍しくありません。

柔らか過ぎる土は不向き

建造物を建築するには、固くて丈夫な基礎づくりが欠かせません。
地上から深層部まで柔らかくても、良好な層があれば改良することで問題なく建築できます。

同じ深層部でも有機質を多く含む柔らかくて、ふわふわした土だった場合、施工できない可能性があります。

見た目は問題なさそうでも、セメントと土でつくった杭が上手に固まらず強化できないからです。

この場合、鋼管を使った杭で改良しなくてはいけません。

深層改良の費用相場

費用は、浅ければ浅いほど安く、深いほど高い傾向があります。
使用するセメント量や掘削する時間などで、コストがかかるからです。

土地の改良費用は、延床面積で計算する業者が多く、一般戸建て住宅は約30坪が多いです。

深層改良の費用は1坪当たり6万~8万円が相場なので、30坪の住宅は約180万~240万円が目安でしょう。

費用は、地上から深いほど高まるとお伝えしましたが、他に打設する杭の本数などでも変わってきます。

まとめ

深層改良が必要なのか、地盤調査をして初めて分かります。
また、土質によってセメントによる土地の改善ができない可能性があるので、しっかり調査をしてどれくらいの予算がかかるのか確認しましょう。