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山津波と土石流には違いがある?それぞれの特徴や違いのまとめ
2022年11月20日
山や傾斜地から土砂が崩れ落ちたり流れ出たりする災害には、いくつかの種類があります。
原因によって、大きく3種類に分けられています。
土砂災害の3つの種類と、その特徴についてまとめます。
3つの土砂災害
日本の地形は、山や傾斜地が多い特徴を持っています。
大雨が降ったり地震が起こったりすると、山や傾斜地の土砂が急激に移動する土砂災害に見舞われやすい地形ともいえます。
大雨や長雨などにより地面に浸透した雨水や地震などの影響で地盤が緩み土砂が突然崩れ落ちる災害を「斜面崩壊」といいます。
また、がけ崩れに似ていますが「地すべり」はゆっくりと斜面の下の方向に向かって移動する災害です。
同じ大雨や長雨の影響でも、谷間や河川に一気に土砂が入り込みそのまま下流に押し流される災害は「土石流」といいます。
「斜面崩壊」「地すべり」「土石流」について、詳しく解説します。
斜面崩壊
斜面崩壊は、一般的には土砂崩れと呼ばれています。
斜面崩壊の最大の特徴は突然発生する点です。
急な斜面や山肌が突然崩れるもので、崩れ落ちた土砂は斜面の高さの2~3倍程度まで崩れ落ちていきます。
斜面崩壊は発生する場所によってさらに二つに分けられます。
山や丘陵などで発生するのが「山崩れ」です。
街中の台地や人家周辺の切土斜面などが崩れ落ちる現象は「がけ崩れ」といいます。
前兆現象
突然発生する斜面崩壊ですが、発生を予兆させる前兆現象もいくつかあります。
例えば、崩れ落ちる前には斜面にひび割れや変形がみられます。
さらに、崩壊前までは湧き出ていた地下水や湧き水などが止まることも多いですね。
今まで感じることがなかった異音やにおいを感じたり、濁った水が噴き出したりもします。
斜面崩壊の危険がある場所
危険性が高い場所としては、傾斜角度が30度以上で、高さが5m以上あるといった条件があります。
一度斜面崩壊が始まると崩れるスピードは速いため、大雨や長雨などの際には前兆現象の有無を把握しておくことが重要です。
危険性が高い斜面の上端から水平距離10m以内の場所は警戒区域に指定されています。
さらに傾斜地の下端から傾斜地の高さの2倍以内(または50m以内)も警戒区域です。
近年の事例
2013年に伊豆大島で発生した斜面崩壊は、台風26号による大雨が原因でした。
1時間に122.5㎜の猛烈な大雨により、三原山の噴火によって堆積した火山灰が崩れ落ちました。
地すべり
地面には、様々な特徴を持つ地盤があります。
粘土や泥岩などを含む地層は、一般的に滑りやすい地層といわれています。
このような地層がある比較的緩やかな斜面では、地下水や降雨、地震などの影響で地すべりが発生します。
斜面崩壊とは違い、特徴としてはゆっくりと土砂が移動する点があげられます。
ただし、地すべりも急スピードで発生する場合があります。
斜面崩壊よりも広範囲で崩れることも多いのも特徴です。
前兆現象
前兆現象としては、地面に亀裂がみられたり、樹木が傾いたりする現象が、みられます。
緩やかな斜面で、このような前兆があったら注意すべきでしょう。
地すべりの危険がある場所
危険性が高い場所としては、粘土や泥岩の層がある緩やかな斜面です。
粘土や泥岩の層がある部分は、警戒区域に指定されています。
警戒区域の下端から地すべり地塊の長さに相当する距離(または250m以内)も警戒区域です。
近年の事例
2018年に発生した北海道胆振東部地震では、非常に大規模な地すべりが発生しました。
この地すべり被害は、調査の結果火山灰層の最下部がすべり面となりました。
土石流
土石流は大雨や長雨などにより、山や川底の石などが大量に谷間や河川に流れ込み、土砂や岩石が粥状に流れ落ちる現象です。
土石流という呼び名以外にも「山津波」「山潮」「鉄砲水」といった呼び名もあります。
つまり、山津波と土石流は同じものと考えても良いでしょう。
一度土石流が発生すると、時速20~40kmで土砂が流れ落ちてきます。
数トンもある岩石が流れてくることもあり、非常に大きな被害をもたらします。
前兆現象
土石流が発生する際は、山鳴りがするケースが多いようです。
また、多量の雨が降っているのにもかかわらず、川の水位が一時的に下がることもあります。
また、川の水が急に濁り流木などが混じり始めた場合には、すでに上流域で土石流が発生している可能性があるでしょう。
木が倒れる音や石がぶつかり合う音などが聞こえる場合もあります。
土石流被害の危険がある場所
土石流は山間や渓流で発生しますが、被害が大きくなるのは扇状地と呼ばれる山間部から開けた部分です。
今まで狭かった川幅が一気に広がり、周囲の家屋や田畑を押し流します。
扇状地の河川周辺は、土砂災害特別警戒区域に指定されています。
また、土石流発生の危険度が高い渓流の扇頂部から下流に向かい勾配が2度以上の区域は土砂災害警戒区域になります。
斜面崩壊や地すべりの警戒区域よりも広い範囲が指定されています。
近年の事例
2021年に発生した静岡県熱海市では、大雨や長雨により伊豆山で大規模な土石流が発生しています。
延長約1㎞、最大幅約120mと広い範囲で被害が確認されています。
まとめ
山津波と土石流は同じものですが、土砂災害には大きく3種類に分けられます。
災害が発生すると甚大な被害をもたらすことも多いため、前兆現象があった場合や警報や避難勧告などが発令された場合には、直ちに命を守る行動に出る必要があるでしょう。