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共同溝とは何?共同溝の工法の種類や特徴を知ろう

2022年11月23日

日本の道路の下には「共同溝」と呼ばれる地下設備が埋設されている場所があります。
この共同溝とはどのような設備なのか、何に役立っているのか知る人は少ないかもしれません。

また、共同溝はどのように作られるのか、その工法の種類などについては、ほとんど知る人はいないでしょう。
今回は共同溝の意義や工法の種類、特徴についてまとめます。

共同溝とは何?共同溝の工法の種類や特徴を知ろう

複数の設備が共同で収容されるのが「共同溝」

日本の道路の下には、ガス管や水道管などさまざまな敷設物が埋設されています。
これらの維持管理は、それぞれの事業者が実施しています。
そのため、似たような場所にある敷設物の維持管理のための工事でも、管理者が異なれば別の日程で工事する必要があります。

道路利用者は「また同じような場所で工事している」と感じるかもしれません。
工事のたびに車線規制が掛かったり、通行規制が掛かったりすると不便ですよね。
このような不便を解消できる設備として「共同溝」があります。

道路や歩道下に共同溝を敷設し、その中に異なる事業者が維持管理する設備を敷設します。
維持管理に必要な空間も同時に確保することで、維持管理のために道路を掘削する工事を実施する必要もなくなります。

事業者にとってのメリット

共同溝に設備を敷設する事業者は、共同溝整備のための費用を拠出する必要があります。
費用の拠出というデメリットがあったとしても、それに代わるメリットもさまざまあります。
例えば、維持管理のたびに道路を掘削する必要がなくなります。

掘削のための手続きや費用の拠出などが不要となるのです。
また、掘削が不要になることでこまめなメンテナンスも可能です。
老朽箇所や不具合箇所の発見機会が増えるため、こまめな修繕も可能でしょう。

老朽化や不具合によってサービスが提供できなくなることも格段に減ります。
利用者の利便性が向上し、顧客満足度を高められるのは大きなメリットです。

一般の人にとってのメリット

個別の掘削工事が減ることで、一般の人も通行の支障となる工事が減ります。
道路工事が減れば渋滞が減り、スムーズな通行が可能となるでしょう。
また、電線が共同溝に敷設されることで電柱がなくなります。

歩道上の障害物が減るため、通行がスムーズになります。
オフィスビルなどで万が一火災が発生した場合も、上空に救助の支障となる電線がないことでスムーズな救助が可能になります。
上空の電線がなくなることで景観もよくなります。

共同溝を作るための2つの工法

共同溝を作るための工法は、大きく分けると2種類あります。
1つは道路の上から掘り進めていく「開削工法」で、もう1つはシールドマシーンを使い地中を掘る「シールド工法」です。

開削工法

地表から穴を掘り、構造物を作り、穴を埋め戻すのが開削工法です。
工事にあたっては、まず共同溝を作る道路の車線を規制する必要があります。

ユンボなどを用いて道路を掘削していき、共同溝を建設する空間を作ります。
共同溝が作られたのちに掘削した部分と共同溝の隙間を埋め戻し、さらに道路舗装を施せば工事終了です。

共同溝工事の多くは開削工法で実施されます。
土質や地下水などを実際に目視した上で、作業が進められる点は大きなメリットでしょう。
想定外の埋設物も発見しやすく対処しやすいのも開削工法ならではです。

さらに浅い地点に共同溝を敷設する場合は、経済的負担が少なく済みます。
ただし工事のために交通遮断を実施する必要があり、渋滞が起こるデメリットがあります。
騒音や振動など工事中に周囲に与える影響も大きな工法となります。

シールド工法

シールドマシーンと呼ばれる掘削機を使い施工するのがシールド工法です。
「発進立坑」から発進したシールドマシーンは前面にあるカッターで円形に穴を掘り進めます。

同時にセグメントと呼ばれる枠を掘削された穴の壁面に取り付けていきます。
シールドマシーンが掘削したときに出た土はシールドマシーンが開けた穴を通り発進立坑などの立坑から搬出されます。

セグメントを補強するためにスチールフォームと呼ばれる移動式鋼製型枠を使いコンクリート打設も実施されます。
掘削を終えたシールドマシーンは最終的に到達し、立坑から搬出されます。

シールド法では立坑以外の部分は道路表面に出ないため、交通規制の影響が少なく渋滞が発生しにくくなります。
また、地中深い位置での掘削となり、掘削速度も低速であるため振動や騒音の問題も少ないのも特徴です。

地中深い位置に埋設されているものは少ないため、埋設物の移設も不要になるケースがほとんどです。
線路を横断するような共同溝敷設も可能です。
ただコストは高く、浅い位置に設置する共同溝の掘削にも不向きです。

まとめ

共同溝は、一度敷設すれば敷設設備の維持管理などのための掘削が不要となり、交通遮断などが不要となります。
さまざまなメリットがある施設といえるでしょう。
共同溝の工法は大きく2つの種類があり、共同溝の規模や目的に応じて使い分けられます。