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関東ローム層に地耐力はあるか?関東ローム層の特徴のまとめ

2022年11月24日

関東ローム層は、関東地方に広く分布している赤褐色の砂質粘土層です。
地域土と呼ばれるもので、九州であればシラス、西日本であればマサ土などが同じような存在としてあります。

今回は、関東ローム層について詳しく説明します。

関東ローム層に地耐力はあるか?関東ローム層の特徴のまとめ

ローム層とは

関東地方で非常にポピュラーな地層といえば、赤褐色の砂質粘性土であるローム層でしょう。
ローム層というのは火山活動が盛んだった13~2万年前の火山灰が降り積もった地層です。
火山灰以外にも氷河の堆積物なども含まれています。

ただ、13~2万年前は大きく二つの時代に分類できます。
一つは13~6万年前の海水面が比較的高い時代です。
そしてもう一つが6~2万年前の海水面が急激に下がった時代です。

海水面が急激に下がった理由は氷河期となったためです。
多くの水が凍ったために海水面が下がったのです。

一つ目の海水面が高かった時代にできたローム層は常総粘土層といわれます。
氷河期が終わった後もしばらく火山活動は活発な状態で、火山灰は降り積もりました。
約1~2万年前に降り積もった火山灰により作られたローム層があります。

関東ローム層とは

ローム層の内、関東一円に広がる地域土を「関東ローム層」といいます。
関東ローム層が作られるに至った火山活動は約1~2万年前とかなり幅があります。
その間複数度火山活動による降灰がありました。

そのため関東ローム層もいくつかの層に区分されています。
関東ローム層の内、現在の地表に近い「立川ローム」や「武蔵野ローム」は新期ローム層と呼びます。

この層は富士山や箱根連山の火山活動により作られたもので、旧石器時代の生活の痕跡が見つかっています。
新期ローム層の下には「下末吉ローム」や「多摩ローム」と呼ばれる層があるのです。

関東ローム層の土壌的特徴

関東ローム層の特徴について解説します。

粘性土

土質は大きく分けると、砂質土と粘性土の二つがあります。
関東ローム層の土壌は粘性土で赤褐色の色合いが特徴的です。
粘性土は土の粒子が細かい特徴を持っています。

さらに鉄分などの鉱物が含まれています。
土に鉄の成分が含まれているため、鉄錆の色が赤褐色に土を染め上げているのです。
粘性土の土壌は粒子同士が結合し、地盤としては強くしっかりとしたものになります。

このため、関東ローム層は基本的に建物を建てるのに適した支持地盤といえます。
ですが、粘性土の特別な結合が失われると、強固な地盤が一転し軟弱地盤に変わります。

長い期間堆積したからこその結合

粘性土の特別な結合は、数年程度堆積して作られるわけではありません。
数万年単位の長い期間堆積したことで得られるものです。
関東ローム層の場合約1~2万年前に堆積した火山が風化し作られたそうなので、強固な地盤となりました。

ですが、一度この特別な結合が失われると、再び強固な結合に至るまではまた数万年かけなければなりません。
土砂災害や人為的に掘削したといった場合、粘性土の特別な結合が失われます。

土砂災害が発生し新たに堆積した粘性土や、盛土や埋め戻しに粘性土が使われた場合、それが関東ローム層の土でも強固な地盤とはいえず、軟弱地盤となるのです。

地耐力や耐震力

一般的に粘性土は、地耐力が弱いとされています。
地耐力は文字通り地面が耐えられる力を表したものです。

例えば、畑の上を歩くと足が土に埋まり歩きにくいと感じるでしょう。
これは畑の土の地耐力が低いためです。

この状態の土の上に建物を建てた場合建物が沈んだり傾いたりします。
粘性土は比較的柔らかな土壌ですが、関東ローム層の場合は地耐力があるため戸建てや中層建造物の支持地盤になり得ます。

ただ、柔らかな土壌なので地震発生の際は揺れやすい、つまり耐震力は弱めです。

注意すべき点

戸建て住宅を建てるなら、関東ローム層は適した地盤といわれています。
ただ周囲が関東ローム層の地盤だとしても、建設予定地そのものが関東ローム層の上にあるとは限らないのです。

盛土や土砂災害により堆積した場所

注意したいのは、あたり一帯が関東ローム層の地盤でも、盛土や土砂災害により堆積した場所は関東ローム層とは異なる特徴を持つ点です。

すでに何度か紹介していますが、同じ粘性土でも盛土や土砂災害によって堆積した場所は土粒子同士の結合が崩れた軟弱地盤です。
土壌改良工事などを実施すれば建設可能な土地といえるでしょう。

もともとは谷だった場所

関東ローム層ができる前には、長い氷河期がありました。
その氷河期が終わったときに入江だった場所はもともと谷だった場所です。
関東ローム層が作られたのち、この谷が埋められ平地になった場所がいくつかあり「埋設谷」と呼ばれます。

このような場所は、地耐力が低い柔らかな地盤となっています。
埋設谷は1ヶ所ではなく関東地方に複数箇所存在します。

まとめ

かつての火山活動で降灰した火山灰などが風化して作られたのが関東ローム層です。
赤褐色の粘性土という特徴がありますが、長い期間かけて堆積した関東ローム層は地耐力がある地盤です。

ただ、盛土や土砂災害により堆積した場所は粘性土の特別な結合が失われ軟弱地盤となっています。
また、周囲が関東ローム層でも、埋没谷などにより地表近くに関東ローム層がない場所もあります。

このような場所で建築物を建てるときには、地盤改良が必要です。