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コンクリート擁壁を作る費用はいくら?そもそも擁壁とは何かも解説

2022年11月26日

斜面を安定させる目的で作られる擁壁にはさまざまなものがあります。
その中でコンクリート擁壁はその名前の通りコンクリートを使い築かれる擁壁です。

傾斜地の住宅街などでよくみられるコンクリート擁壁を作るにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

また、そもそも擁壁とは何かについても解説します。

コンクリート擁壁を作る費用はいくら?そもそも擁壁とは何かも解説

擁壁とは何か

大雨や長雨などの影響で土地に浸透しきれない雨水がたまることがあります。
もし、斜面にこのような雨水がたまると、がけ崩れや地すべりなどの土砂災害が発生する危険があります。

また、地震でも土砂災害が発生する危険が出てきます。
このような土砂災害を防ぐ目的で作られるのが「擁壁」です。

擁壁が必要な崖

建物を建築する際、崖の上や崖の下の土地に建てる場合もあるでしょう。
東京都のがけ条例の事例では次の通りとなっています。
崖の傾斜が30度以上ある場合、崖の高さの2倍以内の距離の土地は建築制限が掛かっています。

この建築制限内に建物を建てる場合には、崖に擁壁を築かなければなりません。
この範囲はがけ崩れや地すべりの危険があるためです。

切土や盛土でも擁壁が必要

崖だけではなく、切土や盛土で造成された住宅地でも擁壁が必要な場合があります。
切土は、もともと斜面だった土地を平らにするために地面を削り取った土地です。

盛土は、逆に傾斜がある土地を平らにするために土を盛り地面を高く平らにした土地です。
切土の場合は高さが2mを超える崖が生じた場合、盛土の場合は高さ1mを超える崖が生じた場合は擁壁が必要です。

また、自宅地造成面積が500平米を超える場合も擁壁が必要です。
他にも、いくつか擁壁を築かなければならない条件があります。

4種類の擁壁

擁壁は大きく分けると4種類あります。

・鉄筋コンクリート造
・無筋コンクリート造
・間知石練積み造
・その他の練積み造

それぞれの特徴と費用について解説します。

鉄筋コンクリート造

擁壁の素材として使われているもので、一般的なのは鉄筋コンクリート造です。
その名前の通り、鉄筋が埋設されたコンクリート素材の擁壁です。
強度があり施工にあたり欠陥がなければほぼ強度面での問題がないとされる擁壁です。

鉄筋コンクリート造の擁壁は一見全て同じものに見えますが、地中に埋まった土台の形により次の3種類に分けられます。

・逆T型
・L型
・逆L型

鉄筋コンクリート造の擁壁は壁面を垂直に作ることが可能で、土地を有効活用しやすく構造計算もしやすい特徴があります。

逆T型

崖側と崖下の土地の両方にコンクリートの土台が入り、断面でみたときに逆さまにしたT字型に土台を築くのが逆T型の特徴です。
崖上と崖下の土地両方を所有している場合に施工されることが多くなります。

例えば、所有する土地に高低差があり、低い土地の部分が道路と面している場合、低い土地に駐車エリアを設ける場合があります。

このようなときには、逆T型の擁壁を築きます。
ただし道路と擁壁の境界までスペースがない場合には逆T型擁壁の設置は難しいでしょう。

L型

断面を見たときにL字型に見える擁壁です。
崖の上の土地を所有し、崖上に建物を建てる場合はL型擁壁を築きます。
L字の水平部分が崖の地面の中に食い込むように設置します。

逆L型

断面を見たときに逆のL字型に見える擁壁です。
崖の下の土地を所有し、崖下に建物を建てる場合は逆L型擁壁を築きます。
L字の水平部分が崖下の地面の中に食い込むように設置します。

費用

鉄筋コンクリート造の擁壁建設は、その高さによって価格が変わります。
3m程度の高さのものだと、1平米あたり7万円程度が相場といわれます。
つまり高さ3mの擁壁を5mに渡って作れば15平米となるため、105万円程度程必要となります。

無筋コンクリート造

基本としては鉄筋コンクリート造と同じですが、コンクリートの中に鉄筋がいらないのが無筋コンクリート造です。
鉄筋が入らない分強度は鉄筋コンクリート造に劣ります。
ただ費用面では、鉄筋コンクリート造よりは安価になります。

間知石練積み造

間知石は四角錐形の石材で、表は四角形となっていますが、後ろはとがった形です。
この間知石を組合せ積み上げた擁壁を間知石練積み造といいます。
間知石に限らず同じような形のブロックを使う場合もあります。
石積みの方法により布積みや乱積み、矢羽積などの工法がありおしゃれな擁壁が作れるのが特徴です。

高さ5mまでなら間知石練積み造で擁壁建設が可能です。
積み上げるときにはブロックは斜めに積み上げていくため、擁壁表面は斜めに仕上がります。

このため十分なスペースがある場合に、検討される方法といえるでしょう。

費用

擁壁を間知石練積み造で施工した場合、1平米あたりの費用は3~5万円ほどです。
鉄筋コンクリートや無筋コンクリート造の擁壁よりは安価になります。

その他の練積み造

その他に該当するのは、お城などでみられる「石積」などがあります。
主に天然素材を使う方法ですが、天然素材なだけに強度にばらつきがあります。
住宅向けの擁壁工事では、ほとんどみられません。

まとめ

がけ崩れや地すべりから住宅を守り土砂災害の被害を最小限に食い止める役割を持つのが擁壁です。

コンクリート造の場合は高さ3m、幅5mの擁壁を築くと100万円以上の費用がかかります。
間知石練積み造の方が安価ですが、擁壁に使われる土地面積が増えるため一般的にはコンクリート造が多くなります。